「噛むこと」「見た目」そして「健康寿命への寄与」この3つが義歯の役割です。
噛むこと、見た目はわかりやすいと思います。
簡単に言うと、奥歯がなければ噛めないですし、前歯がなければ見た目が悪いですよね。
健康寿命への寄与については、少し詳しく説明をします。
近年の日本の大きな課題の一つとして叫ばれているものに、「寿命と健康寿命の差」というものがあります。
寿命とは文字どおり亡くなるまでのことを言い、健康寿命は、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間と定義づけられています。
日本は寿命こそ長いのですが、健康寿命との差が大きく男性で約9年、女性で12年ある、と言われています。
健康寿命を延ばすためには、脳卒中や認知症、転倒などによる骨折を防ぐことが重要です。
この健康寿命に関してこのようなデータがあります。
「残っている歯の数が20本以上の方と、ほとんどの歯がない方とで、認知症1.9倍、転倒リスク2.5倍、要介護認定を受ける割合が1.2倍それぞれ違う」
それに関連したこのようなデータもあります。
「歯がほとんどない方でも、義歯を適切に使用しているとこれらのリスクを下げることができる」
義歯を適切に使用することができれば、要介護を予防し、健康寿命を延ばすことができる、という可能性があるのです。
ここに義歯の大きな役割があります。
部分義歯であれば、失った歯の役割を回復すること、そして残っている歯を守ることができる義歯が、最も適切なものと言えます。
総義歯では、機能の回復、そして、自然な顔貌を回復できているものが適切であると言えます。
また、同時に義歯には限界があるのも事実です。
義歯は「義手」や「義足」と同じで、いくら良いものでも、自分の歯とは異なる独特の装置が必要になります。そして、それらを使いこなすまでの「リハビリ」も必要になります。
部分義歯(残っている歯、種類、材質により異なる) | 100,000〜300,000円 |
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総入義歯(コバルトクロム、チタンなど使用) | 250,000〜400,000円 |
1.使用中の義歯の調整、診査、診断
まずはじめに、現在使用中の義歯があれば、その義歯の大きな不満点を解消します。この時点で、お口の中全体を診て、必要な検査を行っていきます。
2.治療計画、義歯設計
お口の中全体で、歯を抜かないといけない部位、虫歯、歯周病の治療、義歯を作製するのであればどういった設計になるのかを考えていきます。
ここで、義歯の設計は技工士の意見も参考に決定していきます。
3.義歯作製の準備
作製した治療計画を元に、義歯を作製する準備を行っていきます。
虫歯治療、歯周病治療などもこの段階で行います。
また、必要に応じて残っている歯の形を修正して、義歯の装着に適した状態に整えていきます。
4.義歯作製
実際に義歯を作る段階では、技工士との二人三脚で進んでいきます。
診療室では、いかに忠実に口の中や顔の情報を技工士に伝えられるか、技工士はいかにその情報に精密に合わせられるか、が重要です。
場合によっては、技工士に直接患者さんと顔を合わせていただくこともあります。
5.リハビリテーション
装着した義歯はきちんと使われることでその役割を発揮できます。
自分の歯と全く同じようにはいきませんので、リハビリを行い、慣れていくことも大切です。
1.使用中の義歯の調整、診査、診断
使っている義歯の不具合を調整できる範囲で行っていきます。同時に、どんな問題があるのかや顎の状態などを調べていきます。
2.治療計画
使用中の義歯を修理することで使っていけるのか、新しく作っていくのかを判断します。
新しく作っていく場合は、必要な準備や手順を考えていきます。
3.新義歯装着
作製した義歯を口の中に入れて、持って帰っていただきます。
4.リハビリテーション
装着した義歯が馴染んでいくように慣らしていただきます。また、必要な調整を行っていきます。
総義歯の作製手順は、全く何もない状態から作っていく1と、使用中の義歯を利用する方法2とがあります。
症例により、方法が異なります。
当院では、院内に技工士がおり、歯科医との緻密な打ち合わせをしながら、義歯(入れ歯)を作製することが出来ます。
また、何らかの原因で修理が必要になった場合でも、即日対応ができます(一部の特別な症例を除く)。
義歯装着前
義歯装着後
義歯
義歯装着前
義歯装着後